いつのまにBlu-rayの規格に根本的な変更があったの?

HEVCを紹介する文脈で"Blu-rayに採用されている"などということが書かれているのを複数個所で目にしたのだが、知らぬ間にBDAVないしBDMVの規格に根本的な変更があったのだろうか。

HEIFは2015年に規格がファイナライズされた比較的新しいフォーマットで、その制定にはAppleが大きく関わってきたものとのこと。また、HEVC(h.265)も2013年にファイナライズされたもので、すでにBlu-rayなどのフォーマットとして活用される実績を持つフォーマットです。

http://gigazine.net/news/20170609-ios-11-heif-hevc/

静止画/動画のコーデック(データ量を抑えるための符合化ソフト)には、Blu-rayなどに採用されている「HEVC」を使用しますから、同じ写真でもJPEGよりデータ量を小さくできます。

http://news.mynavi.jp/articles/2017/06/07/iphone_why/

というのもHEVCないしH.265がITUに承認されたのは2013年、対してBlu-rayのROM規格であるBD-ROMの制定は2005年、まだ存在してもいないH.265を規格に取り込めるわけもなく、BD-ROMでのアプリケーション規格であるBDMVで挙げられている映像用コーデックはMPEG-2/MPEG-4 AVC(H.264)/VC-1の3種のみ。ROMより先に制定された書き込み型(RおよびRE)向けのBDAVでも同様の状況である。であるのでBlu-rayはHEVCを採用していない。

また、Blu-ray discの再生機器の多くはH.264のデコードにさえ専用チップを使っているのにH.264に比べてさえ再生負荷の高いH.265をハード変更なしに再生することは不可能である。過去に発売されたプレーヤーの大半と互換性のなくなる変更をすれば混乱必須であるがそのようなことは起きていない。

逆に言えば過去との互換性に縛られない規格であればいいのであって、Ultra HD Blu-rayにおいてはH.265を採用している。これはBlu-rayと物理メディアはほぼ同じであるが明確に別扱いされており互換性がないことは周知されている。

以上のことより、冒頭で紹介したような"Blu-rayに採用されている"は間違いであり、"Ultra HD Blu-rayに採用されている"が正しい。